有効成分でコロナ対策(種類、濃度、注意点)

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症を予防するための消毒液、除菌剤にはどのような成分が含有されている必要があるのか、どの消毒(殺菌、除菌)方法が安全に、確実に予防できるかなど、政府発表資料を基に纏めましたので是非ご参考下さい。

【新型コロナウイルス感染症について】

感染拡大が止まらない新型コロナウイルスとその治療法
石鹸にできること、できないこと
消毒、殺菌、除菌できる本当に有効成分とは
次亜塩素酸水の有効性と検証結果
おすすめの消毒、殺菌、除菌方法ランキング
消毒液、除菌剤を自作する場合に注意すべきこと

☞ 感染拡大が止まらない新型コロナウイルスとその治療法

残念ながら治療法は本記事執筆(令和2年6月)の時点ではまだ存在しません。アビガンが治療薬として期待されていますが、副作用や後遺症の観点からまだまだ検証段階にあるようです。また、治療薬と並行してワクチン(感染症予防薬)の開発も世界各地で進められていますが完成したとの発表はまだありません。従って、現時点ではワクチンもない不治の病としてウイルスを体内へ取り込まないように手洗いの徹底および、マスクの着用といった予防行動を心掛けて下さい。なお、日本国内のワクチン開発状況については厚生労働省HP上で確認することができます。

☞ 石鹸にできること、できないこと

日本石鹸洗剤工業会の石けんと雑菌で説明されているように、石鹸は一時的に付着した汚れや菌を泡で包み込み、洗い流すこと(除菌)を目的としています。その為、石鹸そのものに病原性微生物や病原性ウイルスの毒性を無効化するような消毒、殺菌作用はありません。新型コロナウイルスについても同様だと考えられていましたが、石鹸に含まれる純石鹸分(脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム)が新型コロナウイルスの消毒、殺菌に有効であるという研究結果が令和2年6月25日に発表されました。従って、新型コロナウイルスという病原性ウイルスについては、一般的な石鹸においても純石鹸分が必要量以上含有されていれば消毒、殺菌が可能となります。【6/26修正】

☞ 消毒、殺菌、除菌できる本当に有効成分とは

当初は消毒用エタノールのみが新型コロナウイルスに有効な成分とされていましたが、エタノールが高濃度含有されているアルコール製品や、イソプロパノールといった他のアルコール製品も有効であると判明しました。また、漂白剤に含有されている次亜塩素酸ナトリウム、家庭用洗剤に含有されている界面活性剤といった入手し易い有効成分が追加され、長らく効果的に疑問視されていた次亜塩素酸水も令和2年6月25日、経済産業省より有効性が確認されています。こちらでは新型コロナウイルスに有効な成分名および、必要濃度を表に纏めています。なお、重量に対する割合は「wt%」、体積に対する割合は「vol%」と表記されている点にもご注意下さい。

製品カテゴリ 成分名 必要濃度
アルコール エタノール(別名:エチルアルコール) 67~83vol%
イソプロパノール(別名:IPA、イソプロピルアルコール) 70vol%
塩素系 次亜塩素酸ナトリウム(別名:次亜塩素酸ソーダ) 0.05wt%以上
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム【6/26追加】 0.01wt%以上
次亜塩素酸水(流水掛け流し)【6/26追加】 0.035wt%以上
次亜塩素酸水(拭き掃除)【6/26追加】 0.08wt%以上
石鹸・洗浄剤 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.1wt%以上
アルキルグリコシド 0.1wt%以上
アルキルアミンオキシド 0.05wt%以上
塩化ベンザルコニウム 0.05wt%以上
塩化ベンゼトニウム【5/28追加】 0.05wt%以上
塩化ジアルキルジメチルアンモニウム【5/28追加】 0.01vol%以上
ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.2wt%以上
純石鹸分(脂肪酸カリウム)【6/25追加】 0.24wt%以上
純石鹸分(脂肪酸ナトリウム)【6/25追加】 0.22wt%以上

☞ 次亜塩素酸水の有効性と検証結果

次亜塩素酸ナトリウムよりも安全で、アルコール製品よりも安く、それでいて新型コロナウイルスの消毒、殺菌に効果的、夢のような謳い文句と共に登場した次亜塩素酸水ですが、政府がファクトシートを発表するほど効果が疑問視されていました。しかし、「消毒、殺菌、除菌できる本当に有効成分とは」のとおり令和6年26日に経済産業省より次亜塩素酸水も新型コロナウイルスに対して有効であるとの検証結果が発表されました。ただし、あくまでも有効性についてのみであり、人体に対しての安全性は保証していないとのことです。また、次亜塩素酸ナトリウム同様、空間噴霧による使用は命に関わる危険な行為であるとも説明されている為、ご使用前には注意事項を必ずお読み下さい。【6/26修正】
【例】 間違った認識の次亜塩素酸水広告
次亜塩素酸水の誤広告

☞ おすすめの消毒、殺菌、除菌方法ランキング

新型コロナウイルス感染症対策として消毒、殺菌、除菌を行う場合、新型コロナウイルスに対して有効な成分であること、使用時および、使用後に人体へ悪影響を及ぼさないこと、その対策で新型コロナウイルスを確実に予防できることの3点を考える必要があります。こちらではこの3点について評価し、推奨すべき消毒(殺菌、除菌)方法を順位付けしています。【6/29修正】
ランキング 1. 安全性、有効性、確実性が保証される対策
消毒・殺菌表記のアルコール製品(エタノール67~83vol%)を原液で使用
消毒・殺菌表記のアルコール製品(イソプロパノール70vol%)を原液で使用
2. 有効性、確実性が保証される対策
除菌表記のアルコール製品(エタノール67~83vol%、メタノール非含有)を原液で使用
除菌表記のアルコール製品(イソプロパノール70vol%、メタノール非含有)を原液で使用
次亜塩素酸系製品(有効濃度へ希釈済み)を原液で使用
有効な界面活性剤入りの洗浄剤または液体石鹸(有効濃度へ希釈済み)を原液で使用
3. 希釈濃度次第で有効性が弱くなる対策
エタノールまたは、イソプロパノール含有のアルコール製品を有効濃度に希釈して使用
次亜塩素酸系製品を有効濃度となるように希釈して使用
有効な界面活性剤入りの洗浄剤を有効濃度に希釈して使用
4. 安全性、有効性、確実性が何も保証されない対策
アルコール製品(含有成分不明)を原液または希釈して使用
次亜塩素酸系製品(含有成分不明)を希釈して使用
界面活性剤入りの洗浄剤(含有成分不明)を希釈して使用

☞ 消毒液、除菌剤を自作する場合に注意すべきこと

消毒液、除菌剤を自作する場合、有効成分を水で希釈して作成することになります。結果、追加する水分量を間違えると新型コロナウイルスに有効な成分が必要濃度以下となってしまうなど、有効性が保証できなくなります。また、保存容器の残留物が化学反応を引き起こし、有毒ガスが発生する危険性など安全面の保証もできません。このような理由から、化学製造メーカーの立場として消毒液、除菌剤を自作しての感染症対策は推奨できません。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うアルコール製品の欠品が発生している状況では消毒液や除菌剤を自作し、対策するしかありません。このような状況でもあるので、自作する際に必要な計算機や、有効成分を含有する市販製品の検索機を用意しましたので、こちらを利用する形で少しでも確実で安全な消毒液、除菌剤を作成して下さい。また、経済産業省の家庭用洗剤を使った消毒方法次亜塩素酸ナトリウム水溶液の作り方に記載されているように、安全面の観点から、人体ではなくモノに使用するよう宜しくお願いします。
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